【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
奪われたファーストキス
家に帰ると、お父さんとお母さんに迎えられた。
ふたりともすごく心配してくれていたみたいで、笑顔を見せるとほっと胸をなで下ろしていた。
家族と一週間も離れたことがなかった私も、気を張っていたのか安心して少しだけ涙が滲んだ。
やっぱり、家は落ち着くなぁ……。
ご飯を食べる前に、子機をとってリナちゃんに電話をかけた。
きっと心配してくれているだろうし、早く終わったことを伝えたい。
3コールで、ぷつりと繋がった電話。
「もしもしリナちゃん」
『静香、もう家?』
「うん。今帰ってきたよ」
合宿の間にも電話で話したけど、なんだか久しぶりに聞くように感じるリナちゃんの声。
『合宿どうだった?変なやつに絡まれたりしなかった?』
心配している声色に、笑みがこぼれる。