【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「け、ケンくんから聞いたの?」
『うん。友達のスマホから電話かけてきてさ。ごめんって謝られた。ま、復縁はしないけどね〜』
あっさりとそう言ったリナちゃんに、少しだけ安心した。
前に会った時はまだ、ケンくんのことが吹っ切れていないみたいで、浮かない顔をしていたから。
ケンくんには申し訳ないけれど、私はリナちゃんが元気になってくれることが一番だから。
リナちゃんがそう決めて納得しているなら、それが一番だと思う。
反省していたけど、ケンくんがリナちゃんのことを悪く言っていたのは事実だもの……!
「そっか」
『静香のおかげで、すごいすっきりしてる。ほんと、ありがとう』
そんな……何もしていないから、お礼を言われる理由がないよ。
でも、少しでも何かできたなら、それはとても嬉しいことだと思う。
リナちゃんには、素敵な人と結ばれてほしいな……。
大好きな友達だから、心の底からそう思った。