【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
佐倉先輩とのこと、勝手に話していいのかな……。
リナちゃんは誰かに言ったりするような子じゃないけど、佐倉先輩と仲がいいみたいだし、少しだけ言うことに躊躇があった。
別に彼女のフリをしてって頼まれたなんて、やましいことでもないだろうけど……。
近くにあった椅子に座って、私はふぅ……と息を吐いた。
実は、返事はもう決まっていた。
私なりに考えて考えて……出した答え。
夏休みが明けたら、すぐに伝えよう。
私は、佐倉先輩と——。
* * * *
夏休み、あっという間だったなぁ……。
宿題が全部入った重たいカバンを持ちながら、学校に向かう。
今日も早くに教室について、いつものように花壇に水やりに行く。
夏休みの間も、三日に一度は水やりに来ていた。
夏はたくさん水が必要だから、自動給水機にも限界があるし、一週間以上放置すれば枯れてしまう。