【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
家からそれほど遠いわけでもないし、散歩がてら来ていたからそれほど久しぶりという気はしない。
そろそろ花を植え替えたりしなきゃ。それに、秋の花が咲き始める頃。
大きく育ってねと思いを込め、綺麗な花たちに水をやる。
教室に戻ると、私の席に座るリナちゃんの姿があった。
「リナちゃん……!」
久しぶりに会えて嬉しくて、笑顔でリナちゃんのもとに駆け寄る。
けれどなぜかリナちゃんは私を見るなり勢いよく立ち上がり、真顔でこっちへ歩いてきた。
「行くわよ!!」
「えっ、ど、どこに……?」
リナちゃんに手を掴まれ、教室から連れ出される。
私は訳がわからないまま、リナちゃんについて行った。
連れてこられたのは、非常階段だった。
人影もなく、きっと校内で一番静かな場所。
「……で?」
興味津々といった表情で聞いてくるリナちゃんに、首をかしげる。