【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
合宿で和泉くんと話したことはまだ言っていないのに、リナちゃんは鋭い。
「どうするの、告白するの?」
私が和泉くんを忘れられていないことを、当然のことのように見破っている。
そんなに顔に出てたのかな……と、恥ずかしくなった。
それに、告白なんて……
「し、しないよっ……私もうとっくに振られてるから……」
嫌いってはっきり言われてしまっているのにこれ以上しつこくしたら、もっと嫌われてしまう。
ただ……想うだけは、許してほしい。
「あのね、合宿の期間中にわかったことがあるの。忘れようとして、忘れられるものじゃないんだって」
「……」
「だから、少しずつこの気持ちが消えていくのを待とうと思って」
「……そう」
リナちゃんは、腑に落ちないような表情をしながらも、私の言葉を否定しなかった。
それが嬉しくて、にこっと微笑む。