【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜


「今日の放課後、佐倉先輩と話す約束をしてるの。その時にちゃんと伝える」



昨日の夜、教えてもらっていた佐倉先輩のスマートフォンの番号に電話をかけた。

時間を取ってもらったから、放課後にきちんと話すつもりだ。



「そっか。……あー、でもやっぱりあたしは佐倉先輩応援派だわ〜」

「え?」



悔しそうに言ったリナちゃんに、首を傾げた。

そんな私に、はぁ……という盛大なため息が贈られる。



「そんなわっかりやすいアピールに気づかないなんて、ほんと天然っていうかなんていうか……ま、静香が幸せになってくれれば何でもいいわ」



苦笑いしながらも、私の幸せを願ってくれているリナちゃんの言葉に胸の奥が暖かくなった。





* * * *




「じゃあ、行ってくるね」

「うん、あたしは教室で待ってるわ!終わったらカフェ行きましょ!」

「うんっ」



はぁ……なんだか緊張してきた……。
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