【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
うんうんと頭を縦にふる私の顔を、リナちゃんが覗き込んでくる。
「ていうか、どうして急に佐倉先輩?」
そういえば……、尋ねた主旨を忘れてしまっていたことを思い出し、慌てて口を開く。
「昨日ね、図書館で泣いてたら、佐倉先輩が入ってきたの。それでね、慰めてくれて……」
「え……?佐倉先輩が……?」
何故かとても驚いているリナちゃんを不思議に思いながらも、話を続ける。
「私の噂、否定してくれたの。見てたらわかるって、言ってくれた。凄く、良い人だった……!」
思い出したら心が温かくなって、胸に手を当てた。
「あの人、そんな優しかったっけ……?」
……?