【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
放課後になり、佐倉先輩と待ち合わせしているサッカー部の部室前に向かう。
今日は練習はないらしく、誰も使っていないから話をするならそこでということになった。
断るのが申し訳なくて、今から罪悪感に押しつぶされそうだ。
誰もいない部室の前で、佐倉先輩を待つ。
今日は新学期初日だから、どこの部もお休みなのかな……人がいない……。
サッカー部の隣のバスケ部と陸上部にも誰も現れないということは、きっとお休みなんだろう。
「お待たせ」
少し経って、佐倉先輩が現れた。
「遅れてごめん」と言いながら、走ってきてくれる佐倉先輩。
「ごめんね、ホームルーム長引いちゃって」
「いえ……私のほうこそ呼び出してすみません」
2日ぶりなのに、なんだかとても久しぶりのように感じた。
「それで……話って、多分あのことだよね?」
私が呼び出した理由はもうばれているらしく、こくりと頷く。
「はい」
「中入って、座って話そっか?」
笑顔の佐倉先輩に促されるまま、部室の中に入った。
一度だけ、説明の時に入ったことのある部室。