【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
夏休みの間忙しかったのか、以前入った時よりも散らかっていた。
こういうのを見ると、片付けたくてうずうずしてしまうっ……。
ぐっと堪え、「失礼します」と言って佐倉先輩と向き合うように椅子に座る。
「呼び出してくれたってことは、答えが決まったってことかな?」
また図星を突かれて、びくりとあからさまに反応してしまった。
「……は、はい」
本当に、申し訳ないな……。
罪悪感に引っ張られるように下を向いたけど、ちゃんと言わなきゃと思い顔を上げる。
すぅっと小さく息を吐いてから、佐倉先輩に向き合い口を開いた。
「……すみません佐倉先輩。私は先輩の彼女のフリはできません」
振り絞った私の言葉に、佐倉先輩はまるでわかっていたかのように微笑んだ。