【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「ち、違いますっ……!ちゃんと、断りました……!」
あっ……。
これじゃ、告白されたって自分で言ってるようなものだ……。
私の返事に、なぜか和泉くんはほっとしたような表情をした。
「断ったんですか?」
「は、はい……」
「それって……好きなやつがいるからですか?」
……っ。
思わぬ図星を突かれ、小さく口を開いたまま固まってしまった。
「……ど、どうして、知って……」
「偶然聞きました」
そ、んな……。
じゃあ、和泉くんは、私が和泉くんを好きなこと……っ。
知られているなんて、気付かなかった……。
顔が、一気に熱を持ったのがわかる。
「その……すみません……」
すみませんって……私の気持ちに対して、ってこと、かな……?
和泉くんが私を嫌いなことはもう嫌ってほどわかっていたけど、改めてそう言われて、胸が張り裂けそうなほどの痛みに襲われた。