【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜


また……振られて、しまった……。

わかっていても、悲しいものなんだな……。

和泉くんにも、謝らせてしまって……悪いことをしてしまった……。



「ご、ごめんなさいっ……」



思わず、そう口にしていた。



「い、和泉くんに迷惑かけるつもりはなくて、嫌ならもう目の前に現れないように、するので、その……」



……ダメだ、また、泣いてしまいそうっ……。


悲しくて、苦しくて……止まれと思うのに涙が抑えられない。

そばにいるのも恥ずかしくて、もう耐えられなかった。


教室を出ようと立ち上がる。



「……待ってください」



逃げようとした私の手を、和泉くんが掴んだ。



「どういう意味ですか?どうして俺が迷惑なんですか?」



……え?



「だって、すみませんって……」



私の気持ちは、迷惑ってことじゃないのかな……。

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