【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜


あの日、私はずっと和泉くんを見ていて、それで……心配になって後を追った。



「……ご、ごめんなさい……」



気持ち、悪いよね……。

ずっと見られていたなんて……それに、私みたいな、女にっ……。



「謝らないでください。……顔、あげてください」



和泉くんの大きな手が、私の両ほほに重ねられる。

そのまま目線を合わせるように、ぐっと持ち上げられた。


視界に映った和泉くんの顔は……



「俺の話、聞いてくれますか?」



とても優しく、私には向けられたことのないような穏やかな表情だった。



「和泉くんの、話……?」



恐る恐る、首を縦に振る。


一体私になんの話をしてくれるんだろう……。

わからないけど、和泉くんの視線が優しくて、このまま時間が止まってしまえばいいのにと思った。


この綺麗な瞳に自分だけが映っているという事実だけで、幸せになれた。





「俺……


あなたが好きです」



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