【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
よく見ると、頬が赤くなっていた。
「静香先輩って、ほんとに男の趣味悪いですね」
……あれ?
和泉くんもしかして……照れてる……?
「いいんですか?本当に俺で……」]
「え?」
「きっと静香先輩みたいに素敵な人には、俺なんかよりもいい男、この先山ほど現れますよ」
そう告げてくる和泉くんが、なんだか切なそうに見えた。
私みたいな人間に素敵なんて言葉、分不相応すぎるのに……でも、和泉くんにそう言ってもらえるなら、少し自分に価値を見出せたような、そんな気分になる。
「私は……」
和泉くんの瞳の奥に見えた、抱えなくていい不安を払拭してあげたくて、口を開く。
「和泉くんがいいですっ……和泉くんじゃないと嫌です……」
きっとこの先、和泉くん以上に素敵に思える人なんて現れない。
私の言葉に、和泉くんは安心したようにふっと表情を緩める。