【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「じゃあもう、離しません」
そう言って、ぎゅっと抱き寄せられた。
「ていうか俺じゃ嫌って言われても、もう離せなかったです。ズルい質問してすみません」
耳元で囁かれた言葉に、心臓は痛いほど高鳴る。
離さないでほしいと願いながら、私も強く抱きしめ返した。
どのくらいの間抱き合っていたかわからなくなったとき、和泉くんがゆっくりと私から手を離した。
温もりを手放すことが寂しかったけれど、そんなことを言えるわけもなく私も手を離す。