【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜

きっと朝ごはんに、悪いものを食べてしまったのかもしれない……っ。


何度か背中をさすった時、運動場の方から女の子たちの黄色い声が聞こえた。

……っ。

その原因に心当たりがある私は、反射的にそちらを見る。


遠くてはっきりとは見えないけれど、すぐに分かった。



……和泉、くん……。



女の子たちの視線を集めていたのは、運動場でサッカーをしている和泉くん。

私の……



「なーに、また和泉が騒がれてんの?気になる?」

「リ、リナちゃんっ……」

「真っ赤になっちゃって……そんなに好きならアタックすればいいじゃない」



ーー好きな、人。



「ふふふ」と不敵な笑みを浮かべるリナちゃんに揶揄われ、顔が熱くてたまらなくなる。



「そんなの、出来ないよ……」

「なんでよ、あいつ今彼女いないし、チャンスだよ?」



見てるだけで、充分。

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