【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
……って、私はまた……。
全然ダメだなぁと反省しながら、近くにいるというだけでドキドキと騒いでしまう心臓を抑えた。
* * * * *
教室に戻って、一昨日から読み始めている本を開く。
……そういえば、サッカー部が朝練してたってことは、リナちゃん今日は早く来るかな……?
そう思ったけれど、リナちゃんはいつも来る時間になっても登校してくることはなく、パタリと読んでいた本を閉じる。
もしかして、風邪かな……?
心配……リナちゃんがいないと、寂しいなぁ……。
そんなことを思っていると、前の扉から入ってきたリナちゃんの姿が目に入る。
あっ!
「リナちゃん、おはようっ」
「あら、今日は読書に没頭してないの?」
「う、うん……」
「そう、おはよう」
……あれ?
リナちゃん、なんだか元気がない……?