【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜


「あ、ち、違うんです……」

「ん?」

「和泉くんの家にいると思うだけで、ドキドキしてしまって……」



緊張してるのは、和泉くんのお家にいるからで……。



「……ただのボロアパートですよ」

「好きな人のお家ってだけで、特別です……」



知らない一面が見えるたび、

知らないことが減るたび、嬉しくなる。


片思いしている時は、恋は辛いものだと思っていた。

でも、和泉くんとお付き合いを初めてから、恋がこんなに素敵なものだと知った。

全部全部——和泉くんが教えてくれた。



「私、こんなに幸せで大丈夫でしょうか……」



なんて贅沢な悩みなんだと自分でも思うほど……。



「だからそれは、俺のセリフですってば」

「い、いえ、私のセリフです……!これだけは譲れません……!」



絶対に、私のほうが好きな気持ちが大きいと断言できる。

気持ちは競い合うものではないけれど、和泉くんへの気持ちだけは、誰にも負けない自信があった。
< 502 / 507 >

この作品をシェア

pagetop