【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
無意識に、和泉くんの胸に甘えるように頬をすり寄せた。
「……。はぁ……」
頭上から聞こえたため息に、慌てて顔を上げる。
い、いやだったかなっ……。
不安に思った私の視界に映ったのは……
「無自覚に誘惑すんの、ほんとやめてください」
——じれったいように顔をしかめる、和泉くんの表情。
その瞳の奥に、密かに揺れる欲望のようなものが見えた。
「ゆ、誘惑……?」
何のこと、だろう……?
和泉くんをじっと見つめて首をかしげる。
「だから、そういう顔も……。そんなふうに煽るなら、今すぐ押し倒しますよ?」
「きゃっ……!」
い、和泉くんっ……?