【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
いつも通りの優しい笑顔を向けてくれるけど、なぜかそこに、いつもあるものが無いような、違和感を感じた。
「リナちゃん……何か、あった?」
「……え?」
心配で問いかけた私に、リナちゃんがあからさまに肩を震わせた。
それが、図星の合図だとわかって、さらに心配になる。
「元気が、無いように見えて……あっ、で、でも、言いたく無いならいいのっ……」
いつも、私が落ち込んだ時、リナちゃんが元気付けてくれるから……。
リナちゃんが悲しい時には、私はそばで、寄り添える存在になりたい。
「ケンと別れた」
「…………へ?」
衝撃的すぎるリナちゃんの発言に、変な声が出た。
ケン、とは、リナちゃんの彼氏の名前。
……って、別れたってことは、もう彼氏じゃないってこと……?
そんな……仲よさそう、だったのに……