【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「ちょっと、なんであんたが泣くのよ」
「私がケンくんの分も、そ、そばに、居るからねっ……」
リナちゃんの気持ちを考えると、胸が痛かった。
精神的に大人なリナちゃんは、弱音を吐いたりしないけれど、きっと何か理由があるに決まってる。
「もう……ありがと」
「わ、私は、大好きだよっ……」
「……ほんと、クッソ可愛い」
く、クッソ……?
口の悪い言葉が聞こえたけれど、私の頭を撫でるリナちゃんの触れ方は、愛でるような優しい。
「大丈夫だから泣き止んで。もともと冷めてたのよ。むしろ今は、新しい恋を求めてるの!!片っ端から合コンに参加して、良い男見つけるわよ……!!」
握った拳を上げて、ドヤ顔のリナちゃん。