【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
その笑顔は、いつも通りの元気なリナちゃんのもので、私もごしごしと涙を拭いた。
「えへへっ……うん!」
リナちゃんに早く、新しい良い人が見つかりますように……。
そう願いを込めて、微笑みを向けた。
* * * * *
お昼休み。
いつも机をくっ付けてリナちゃんと食べているのだけど、今日は少しだけ用事がある。
「リナちゃん、ちょっと私、行ってくる……!」
「どこに?」
「佐倉先輩に、ハンカチを返しに」
洗濯してアイロンもして、袋に入れたハンカチを持って立ち上がった。
クラスは、昨日リナちゃんが教えてくれた。
「あー、そういえば昨日言ってたわね。あたしも付いて行くわ」
「え?い、いいの?」
「うん。それに、あんた一人で行かせるのは心配だし」
わ、わたし、そんなに方向音痴かな……?