【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「あ、ここだわ」
3-1と書かれた表札の掛かった、教室の前。
ふたりで立ち止まり、佐倉先輩を探す。
佐倉先輩、いるかな……?
「あ、いた。佐倉先輩!」
すぐに先輩を見つけたリナちゃんが、大きな声で叫んだ。
こ、怖くないのかな、リナちゃんっ……!
案の定、視線がこちらへ集まっている。
そんな中、探していた人がこっちへ駆け寄ってきてくれた。
あっ……佐倉先輩。
「あれ?リナちゃん……って、静香ちゃん?」
「どうしたの?」と私の前に立った佐倉先輩に、袋を差し出した。
「あの……これ、ありがとうございました……!」
「え?なにこれ?」
「は、ハンカチです……」
「あー、そういえば」と思い出したように呟いて、袋を受け取ってくれた佐倉先輩。