【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
ふたりの会話に、私は耳を傾けた。
「合宿は?」
「行くわけ無いでしょ」
「えー、リナちゃんいないと困るんだよねぇ……うちのマネージャー使えない子ばっかじゃん?」
「うちのはマネージャーっていうか、ファンクラブみたいなもんだから仕方ないですよ。もうあたし無関係なんで、そっちでどうにかしてください」
「んー……ここだけの話、ほんとに合宿だけでも来てくれない?ただでさえ毎年酷い有様なのにさ、リナちゃんいなかったら誰も仕事しないって。サッカー部の母でしょ?」
「その言い方やめてください。……申し訳ないですけど、絶対行きません」
なんだか、二人とも深刻そうだ……っ。
合宿って、大変なのかな?
もう夏休みに入るから、それのかな……?
佐倉先輩は、断固として拒否するリナちゃんに、困ったように頭を掻いた。