【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜

「即答か……じゃあ、代わりにちゃんと仕事できる子探してくれない?ほんとにお願い、最後の頼みだと思って」

「先輩が自分で頼めばいいじゃないですか。女の子集めるの得意でしょ?」

「人聞き悪い言い方するね。俺に集まる女の子なんて何もしないし、数合わせにもならないよ。……んー、どうしよっかなぁ……」



私にはわからない領域の話に、二人を交互に見つめて聞き手に回る。

両者とも一旦黙り込み、少しだけ気まずい空気が流れた。


先に口を開いたのは、リナちゃんの方。



「……まあ、さすがに急に辞めて申し訳ないとは思ってますけど、もうケンとも会いたくないし、合宿は死んでも行きません」



リナちゃん……。

事情はわからないけれど、リナちゃんはただワガママで辞めると言っているわけじゃないはずだ。

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