【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
責任感があるリナちゃんが、個人的な感情で仕事を投げ出すようなこと、するはずない。
何となくだけど……ケンくんのことを想って、辞めんじゃないかな、と思った。
そう考えると、胸がぎゅっと締め付けられる。
「んー……そっかぁ……」
顎に手を当て、頭を悩ませている佐倉先輩。
リナちゃんも完全に下を向いていて、私はオロオロしながら二人を見つめた。
「……あ、そーだ」
突然、何か思い付いたように、佐倉先輩がバッと私の方を見る。
「ねぇ、静香ちゃんって、8月の後半暇だったりしない?」
……え?
わ、私……?
合宿のお手伝いをするってこと……かな?
「ちょっと先輩、静香はダメですよ!!あんな男の群れに!!」
なぜか焦った様子で、佐倉先輩に抗議しているリナちゃん。