【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「えー、じゃあ、リナちゃんが来てよ」
「……それも無理です」
気まずそうに視線を逸らしたリナちゃんを見つめ、私は口を開いた。
「あ、あの、私でよければ、手伝いますっ」
全然、何をするかとか、わからないけど……
リナちゃんが困ってるんだもん。私だって、何か協力したい。
「ほんと?」
私の言葉に、佐倉先輩はパァっと顔色を明るくさせた。
首を縦に振った私の肩を、リナちゃんが掴む。
「何言ってんのよ静香!こんな面倒なこと引き受けなくていいのよ!」
「面倒って……確かに、洗濯とかご飯作ったりとか、作業量も多いし、大変は大変だよ」
そ、そっか……部活、だもんねっ……。
きっと凄く大変なんだろうな。
「それでもいいかな?」
改めてそう聞いてくる佐倉先輩に、断る理由は無かった。