【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
こちらこそ、いつもありがとうっ……。
リナちゃんには、毎日感謝でいっぱいなんだ。
「……なるほど」
……?
私たちを交互に見て、佐倉先輩が呟いた。
なる、ほど?
「……リナちゃんがこの前言ってた親友って、静香ちゃんのことだったんだね」
……え?
「はい。そうですよ」
何故かドヤ顔のリナちゃんは、フフンっと鼻を鳴らしている。
「力説してた理由がわかった」
「ふふっ、さすが先輩」
完全に置いてけぼりの私。二人の会話に、頭上にはてなマークを幾つも並べた。
「それじゃあ、あたしたち戻ります」
理解するより先に、リナちゃんが私の手を掴む。
「うん、バイバイ。またね」
手を振ってくれた佐倉先輩に一度頭を下げ、私たちは教室を去った。