【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



「……ごめんね、面倒なことになって」



教室に戻る途中、申し訳なさそうに謝ってくるリナちゃん。

本当に、私は大丈夫なのに。



「ううん。平気だよ」

「それにしても……あんた本当に大丈夫なの?」

「え?なにが……?」

「合宿、一週間泊まり込みなのよ?その間、ずっと和泉といることになるけど……」



この時、私は自分がとんでもない場所へ自ら足を踏み入れてしまったのだと理解した。



そ、そう、だ……リナちゃんと佐倉先輩はサッカー部だから、合宿となれば、言わずもがな和泉くんと会ってしまう。

それに、今リナちゃん、泊まりって言った……?



「……え、と、泊まり……?」

「なに、日帰りだと思ってたの……?」



当たり前にそうだと思っていた自分に、頭を抱えたくなった。


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