【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜

自分のことを言われるのは、あまり得意ではない。


けれど席に着いた時、後ろの辺りに座っている女の子の言葉が、今度ははっきりと耳に入った。



「先生に媚でも売って点数もらってんじゃない?」



……っ。

蔑むような、笑いの混じった声。


悲しくて、私はスカートの裾をぎゅっと握った。



「ちょっとあんた今なんて言ったのよ」



隣にいたリナちゃんにも聞こえていたのか、怒った様子のリナちゃんが立ち上がる。

声の主を睨みつけるリナちゃんに、相手の女の子は気まずそうに顔を伏せた。


た、大変……っ。



「り、リナちゃんっ、大丈夫だからっ……!」



こういうことを言われるのは、その……慣れているし、平気。

慌ててリナちゃんを止めるも、怒りが収まらない様子だった。

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