【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
リナちゃんは、サッカー部のマネージャーをしているから。
部内に彼氏が居て、一年生の頃から毎日頑張っている。
「別に部活見学くらいいいじゃない。もう焦ったくて見てられないのよあたし」
「ほ、ほんとに、私は見てるだけでいいのっ……それに、今日は図書委員の仕事があるから……」
申し訳ないけど、その好意だけ受け取らせて貰って、私は熱い頬を冷ますよう手でパタパタと煽った。
でも、少しだけ羨ましい。
和泉くんがサッカーをしている姿を見れるなんて……
きっと、部活の時の和泉くんも、凄くかっこいいんだろうなぁ……。
「……あ!そういえば誘っといてだけど今日部活休みだったわ!忘れた!」
そんなことを考えている私の耳に、リナちゃんの溢した独り言が届くことはなかった。