【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「大丈夫じゃないでしょ。女の僻みは醜いわよ」
そう言われたクラスメイトの女の子は、リナちゃんに怯えたように、小さい声で「ご、ごめん……」と溢した。
静まり返る周辺。リナちゃんは怒りが収まったのか、ため息をつきながら席に着いた。
「ご、ごめんねリナちゃん……ありがとう」
「あたしが勝手に言っただけ。ほんっとムカつく。静香のこと何にも知らないくせに。あんたが勉強頑張ってるの、あたしは知ってるんだから」
リナちゃんの気持ちが、泣きそうになるほど嬉しかった。
こうしてわかってくれる人が、私にはちゃんといる。
他の誰に、どんなふうに思われたって、こうして理解してくれる人がいてくれるから、それだけでもういいやと思えるんだ。