【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「は、はい、さっき」
「赤点とか無かったの?」
「はい、無事……」
「へー、頭良いんだね」
「い、いえ、全然そんなことありません……」
首を左右に振った私を見て、佐倉先輩はくすっと笑った。
「サッカー部の合宿、夏休みの後半って伝えたじゃん?それね、補習のやつが続出するから、前半にしたら部員の半分くらい参加できなくなるんだよね」
「バカばっかなんだ、サッカー部」と付け足して、苦笑いを浮かべる佐倉先輩。
そ、そうなんだ……でも、毎日部活があったら、勉強する時間も減って当たり前だよね……。
部活との両立って、私には想像できないほど大変そう。
しみじみとそう思っていると、佐倉先輩が突然、何かを思い出したように「あっ」と声をあげた。