【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「サッカー部に何の用だろ?誰か話しかけてみろよ」
和泉くんのことでいっぱいいっぱいな私に、その言葉たちが届くことはなく、目を瞑ったまま胸を抑えていた。
「ちょっと俺、聞いてくるわ……!」
「おう!行ってこい行ってこい!」
私がここにいるの、和泉くん嫌がってるだろうな……
「やっべ、話しかけるの緊張するんだけど……!」
でも、今日もやっぱり、カッコよかった……
「あ、あの……」
ーーー好きだなぁって、思ってしまう心を、やっぱり止められない。
「おーい、席つけお前らー」
佐倉先輩の声が、視聴覚室に響いた。
「ゲッ、キャプテン」
「何やってんだお前、ほら、席ついて」
「ちぇっ。はーい。せっかく話すチャンスだったのに〜」