【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
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放課後の図書室は、静かだ。
図書委員の仕事は、受け付けと貸し出しカードの管理。
……と言っても、来客者は1日数人しかいないから、基本的に本を読んで過ごしている。
昨日から読んでいた小説を読み終えて、パタリと本を閉じた。
「……っ、すっごく感動したなぁ……」
瞳から零れそうになった涙を拭って、私は余韻に浸った。
良くあるラブストーリーものかと思ったけれど、文章や表現がとても綺麗で、なにより主人公の女の子がかっこよかった。
正義感に溢れていて、思ったことをはっきり口にして、信念を曲げなくて……私も、こんな風になれたらなぁ……。
こんな風に行動力のある女の子だったら、もっと和泉くんに、近づけたのかな……。