【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜




* * * * *




放課後の図書室は、静かだ。


図書委員の仕事は、受け付けと貸し出しカードの管理。

……と言っても、来客者は1日数人しかいないから、基本的に本を読んで過ごしている。



昨日から読んでいた小説を読み終えて、パタリと本を閉じた。



「……っ、すっごく感動したなぁ……」



瞳から零れそうになった涙を拭って、私は余韻に浸った。


良くあるラブストーリーものかと思ったけれど、文章や表現がとても綺麗で、なにより主人公の女の子がかっこよかった。

正義感に溢れていて、思ったことをはっきり口にして、信念を曲げなくて……私も、こんな風になれたらなぁ……。


こんな風に行動力のある女の子だったら、もっと和泉くんに、近づけたのかな……。

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