【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
……って、見てるだけで満足って、言ったのにっ……。
自分の発想に恥ずかしくなって、髪を弄った。
恋は、小説の中だけでいい……。
自分が誰かと付き合ったりする未来なんて、全然見えない。
……次に読む小説、探そう……。
ネガティブな思考を打ち消そうと思って、立ち上がった。
図書室の棚を見ながら、興味をそそられる小説を探す。
……あっ。
さっき読んでいた小説の作者さんの、別の作品を見つけて立ち止まる。
これ借りようっ……でも、一番上の棚……脚立取ってこなきゃ。
……んーっ、重たい……。
奥にある脚立を半ば引き摺りながら運んで、なんとか目当ての場所に設置した。
ひとつひとつ気をつけながら登って、小説に手を伸ばす。