【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
俺は知らないけど、2年に高校生離れした色気を放つ美貌をした女がいるとかいないとか、言ってたな。
マドンナ扱いされているその女は、何人もの金持ちの愛人をしているらしく、常に男がより取り見取り……って、噂で聞いた。
そんな女に、興味はない。
俺が一番、苦手とする人種だから。
「うわ〜今日も色っぽさ全開だな」
さっきまでサッカーについて話していた奴も、今は廊下の方に視線を向けている。
移動教室で一年のところを通って来たのだろうか……迷惑だ。
男関係がクズな人間とは、出来れば関わりたくないし、視界に入れたくもない。
そう思いつつも、あまりの騒がれように俺もつられて視線を向けてしまった。
ーー途端、息が止まるほどの、衝撃が全身に走った。
「……え?」