【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「緩いっつーか、いろんな金持ちの愛人やってるって噂。でもあの美貌なら納得だよな〜、俺も一回でいいから相手してもらいてぇ〜!」
……なんだよ。
「……んだよ、それ……」
俺の、勘違いだったのか?
ここにいる『静香先輩』が本物で、あの日俺が見た彼女が、幻だったのか……?
未だに理解が追いつかなくて、その日は一日中、噂のことで頭がいっぱいだった。
この時はまだ、ただの噂なんじゃ無いかとどこかで思っている諦めの悪い俺がいた。
でも、俺は見てしまったんだ。
決定的、瞬間をーーー。
* * * * *
あれは、練習試合の前日だった。
顧問に許可をもらい朝から運動場を使わせてもらえる事になり、シュート練をしようと早くに登校してきた。