【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜


……あ。


校門の前に、誰もが知る高級車が停められていた。

かっこいいな……あの車種。
特にあのグレードは、男なら誰もが一度は乗りたいと思うやつだろう。


ぼーっと眺めていたら、助手席から、一人の女子生徒が降りてきた。



……間違いない。

花染、静香だ。


彼女の整った容姿なら、一度見たら忘れないだろう。


花染静香は、窓越しに運転席に座る人間に頭を下げた。

すると、運転席の窓が開いて、男が顔を出す。



この男もまた、遠目から見てもわかるほどズバ抜けて容姿の整った人間だった。


そいつは、窓から顔を出し、花染静香の頰にキスをした。



ーーー頭の中で、何かが崩れる音がする。


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