嘘の続きは
「タカトさん、私と出かける今夜のこと嫌がってなかった?」

「ううん、全然」

あれ?
「嫌がってなかったの?」

果菜ちゃんはニコーっと可愛い笑顔を見せた。

「心配はしてくれたけど、少しも嫌がってなかったよ。
それに、あの時だって怒ってはいなかったの。初めから朋花さんが一緒だから大丈夫だろうって思ってたって。結果的に貴くんも事務所も世間に私たちが入籍したことを知らせるいい機会だってことにしちゃったし。だから全然大丈夫」

「でもあれからしばらく外出禁止だったよね」

「ああ。それね」
果菜ちゃんはくすっと笑った。

「禁止じゃなくて自粛です。あんまり心配かけちゃって貴くんがハゲたら困るからね。私がおとなしく家にいたら安心するみたいだったからちょっと自主規制かけてました」

自主規制の外出自粛だったのか。

「ヘルシーエスニック料理にはまって見たり、読書したり、あ、ちょっとしたDIYも始めたのよ、初めての引きこもり生活満喫してみたの」と彼女は何故か胸を張っている。

そんなに楽しかったのかな。

「あのLARGOのタカトがハゲたらもちろんショックだけど。タカトさんとハゲは結び付かないわ。実は遺伝子レベルではやばいの?」

「ごめーん、冗談、冗談。そっちは大丈夫だと思う」

「ああよかった。びっくりしたわ」

あのクールなイケメンギタリストの頭が寂しくなるってーーー想像したくない。

< 102 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop