嘘の続きは
「私のことよりも・・・」
果菜ちゃんが目の前の料理が入ったお皿と私を見比べるようにしてチラチラと視線を動かしている。
な、なに?
「朋花さんの椎茸さんのことなんだけど」
は?
「しいたけさん?誰、それ?」
しいたけさん?なんじゃそりゃ。
はて、そんな変な名前の知り合いがいただろうか。
「そう。朋花さんの恋のお相手の椎茸さん」
果菜ちゃんが一枚の大きな干しシイタケを煮物の鉢からちょいっとお箸でつまみ上げひらひらさせて私に見せてきた。
ぶっと私は口に含んだ泡盛を吹きそうになった。
椎茸さんって、椎茸ってキノコじゃん。
「ずいぶん長いこと彼氏はいないけどね、---せめて人間に恋したいよ・・・」
遠い目をして呟くと、果菜ちゃんが違う違うと慌てた。
「あー、”椎茸さん”って名前は私が勝手につけただけなの。あだ名みたいなものなの。朋花さんのお相手がどんな方かわからなかったから仕方なくっていうか」
「私にキノコのお相手なんていないけど???」
身の覚えがない謎のお相手の『椎茸さん』に私は目が点になってしまう。