嘘の続きは

「果菜ちゃん、私の真島さんへの想いは現在進行形じゃないから。過去の話なんだってば」
否定してみるけれど、そんな私の目を果菜ちゃんは「ん?」と訝しげに首を傾げた後で突然じっと見つめてきた。

やばい、やばいって。
果菜ちゃんのその瞳。
二重も黒目も大きくて、しかも目の奥が透けて見えて吸い込まれそう。
私の心臓がドクンっと大きく跳ねた。

私、百合の気はなかったはずなんだけど、果菜ちゃんやばいってー、綺麗すぎるよ。

タカトが入籍をファンに向けて報告した時に公開した果菜ちゃんの映像は素晴らしくきれいだった。彼女の内面の美しさを表している”月の姫”の名にふさわしいものだったと思いだした。
あの映像は少しも手が加えられていないという。
透明感、凛とした美しさ。
果菜ちゃんの良さを十分に表していた。

今、真正面から私を見つめる彼女そのもの。
私の心の奥をのぞき込んでくる彼女からはさっきまでの緩い雰囲気はなくなっている。

私が声も出せずにいると目の前の果菜ちゃんの口がゆっくりと動いた。
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