嘘の続きは
「どうして？今夜はお仕事だって言ってたのに」
こぼれるような笑顔で果菜ちゃんが問いかければ
「打ち合わせが早く終わって、会食も無くなったから食事をしがてら果菜を迎えにきた」
とキラキラのイケメンがにこやかに答える。

「俺は向こうで食べるから果菜はこのまま秋野さんとここにいればいいさ」

「え、いいの？」

「ああ。久しぶりだろ。ゆっくりすればいい。俺も真島さんと話があるしな」

は？
今、真島さんって言った？

「真島さんがここに来るの？」
果菜ちゃんが一瞬私を見てからタカトに問いかける。

「ああ。今日の打ち合わせは真島さんも一緒だったんだ。で、今近くの駐車場に車を停めに行った。もうすぐ来るはずだけど…ああ来たな」

タカトの言葉に驚きお店の入り口を見ると、ちょうどこちらに向かって歩いてくる彼の姿が目に入ってしまった。

今日もダークカラーのスーツ姿。

相変わらず忙しいのか、２ヶ月前の映画祭で見た時よりも少しだけ痩せたように見える。真紀のマネージャーだった頃はもっと生き生きとしていたような気がするのだけど。

それは年齢のせいなのか専務という肩書のある仕事のせいなのかもしくはプライベートのせいなのか。今の真島さんの仕事もプライベートもどうなっているのか全く知らないのだから私には想像することもできない。

それにしても、こんな度々会うことは望んでいないんだけどと心の中で舌打ちをした。
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