嘘の続きは
果菜ちゃんがタイミングよく立ち上がり、真島さんに声をかける横で私も慌てて立ち上がった。

「こんばんは。真島さん、先日はお時間を頂きありがとうございました。おかげさまであの後からスムーズに話が進んでいて。打ち合わせは滞りなく終わりました。本当に助かりました」

「いいえ、貴斗にうまく時間を与えられなくて申し訳ありません。その分の負担が果菜さんにいっているのは明白な事実ですから。私でよければ何なりとお申し付けください」

「そうですね。たぶん相談しない方がご迷惑をかけてしまうと思うので、何かあったらすぐに相談させていただきますね」
ふふっと果菜ちゃんが花のように可憐な笑みを浮かべると真島さんも安堵の笑みを浮かべる。

「そうしてください。その方が貴斗にとっても最良の選択になるはずですから」

それはたぶん果菜ちゃんたちの結婚式や披露宴関係の話なんだろう。
無関係の私は話に入るわけにもいかないので息を詰めるように影を薄くして立っていた。

それにしても居心地が悪い。

”月の姫”と評される果菜ちゃんの笑顔とそれを嬉しそうに頬を緩めて眺めるイケメンギタリストのタカト。
普段見せているクールな姿は相変らずという話だからこれは果菜ちゃんの前でだけ見られるレアな姿なんだろうけれど、一緒にいるのが真島さんでは私の精神的に悪い。
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