嘘の続きは
ーーーしかし、
案の定、タカトたち新婚夫婦の降りた後の車内は静かで、余計に私の緊張を誘う。
私も青山君と一緒に電車で帰りたかった。マジで。
もちろん青山君と帰りたいわけじゃなくて私も電車で帰りたかったという意味だけど。
とにかく、この車内が苦痛で仕方ない。
影武者のとき、私は外から見えにくいワゴン車の後部座席に座らされていたから、真島さんとこんなに近い距離にいることはなかった。
本当に苦痛。
それがわかっているから、必死で断ったのにあの夫婦に強引に車に乗せられてしまった。
断りきれなかったのが非常に悔やまれる。
黙って運転している隣の男の様子を横目でそっと窺ってみると、北海道で会った時の眉間のシワは消えていた。
お店で顔を合わせた時は私の態度になぜか不機嫌な様子だったけど、今はどうやら怒っている感じではなさそうだ。
高級車はエンジン音も静かで今日の私には却って居心地が悪い。
救いは雨が降っていて雨音があることだろうか。
これで車内がエンジン音だけだとしたら自分の心臓の音が聞こえてきそう。
「ーーーあれから」
不意に真島さんが声を出した。
「本当に何もなかったのか?」
果菜ちゃんたちがいた時と全く口調が違うものの彼の視線は真っ直ぐ前を向いたままで、視線を合わせなくて済む。
これが今は本当にありがたい。
私は小さく息を吐いた。
「さっきもお話した通り、私が対応できないような出来事はありませんでした」
案の定、タカトたち新婚夫婦の降りた後の車内は静かで、余計に私の緊張を誘う。
私も青山君と一緒に電車で帰りたかった。マジで。
もちろん青山君と帰りたいわけじゃなくて私も電車で帰りたかったという意味だけど。
とにかく、この車内が苦痛で仕方ない。
影武者のとき、私は外から見えにくいワゴン車の後部座席に座らされていたから、真島さんとこんなに近い距離にいることはなかった。
本当に苦痛。
それがわかっているから、必死で断ったのにあの夫婦に強引に車に乗せられてしまった。
断りきれなかったのが非常に悔やまれる。
黙って運転している隣の男の様子を横目でそっと窺ってみると、北海道で会った時の眉間のシワは消えていた。
お店で顔を合わせた時は私の態度になぜか不機嫌な様子だったけど、今はどうやら怒っている感じではなさそうだ。
高級車はエンジン音も静かで今日の私には却って居心地が悪い。
救いは雨が降っていて雨音があることだろうか。
これで車内がエンジン音だけだとしたら自分の心臓の音が聞こえてきそう。
「ーーーあれから」
不意に真島さんが声を出した。
「本当に何もなかったのか?」
果菜ちゃんたちがいた時と全く口調が違うものの彼の視線は真っ直ぐ前を向いたままで、視線を合わせなくて済む。
これが今は本当にありがたい。
私は小さく息を吐いた。
「さっきもお話した通り、私が対応できないような出来事はありませんでした」