嘘の続きは
確かに、社内外でいろいろ人に興味本位な声をかけられなかった訳じゃない。

社内だけでなく、一般の人が会社まで見に来る野次馬まで現れたから、一時的に受付業務から離れなくてはならなくなってしまった。

だけど、ちょうど株式総会前だったことで、猫の手も借りたい総務部の総会担当者に手伝いよろしくと会議室に押し込められて、みっちりきっちりと肌荒れがするほど働いてかなり有り難がられたことをわざわざここで真島さんに言う必要はないだろう。

総会準備という嵐を乗り切り、無事に総会を終えた頃には会社に私を見に来る野次馬たちの姿はあまり見かけなくなっていて、それからスムーズに元の受付業務に戻ることもできているのだし。

「対応できる程度の何かはあったってことか」

「…まあ、そうですね」

それきり話は続かず、私たちの間にまた沈黙がやってきた。

それからすぐに事故か工事だろうか。流れていた前方の車列にぽつぽつと赤いブレーキランプが光りはじめ、この車線だけでなく隣の車線にも広がると次第に速度が落ちてそして車は止まってしまった。

こんな時間にこんなタイミングで渋滞とはね。
ついてない。

深夜の道路工事の影響は大きくて、

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