嘘の続きは
「今日は主人が息子たちの世話をしているの。あの子たちももう幼稚園に通っているのよ。私の体調も悪くないし久しぶりに仕事ができるって嬉しいわ」
5年前、双子ちゃんを妊娠中に体調を崩してしまったことをきっかけにヘアメイクの仕事を辞めた田所さんはこれが久しぶりの仕事なのだという。
「表立って言えない仕事ですみません」
何とも言えない申し訳ない気持ちになってしまう。
彼女にとって久し振りの仕事が真紀の影武者のヘアメイクだなんて。
「ううん、やりがいあるわ。久しぶりに会った朋花ちゃんはサナギから蝶になろうとしているしね。精一杯やらせてもらいます」
田所さんに私の顔だけでなく頭の先から足の先までまんべんなく観察されるように見られてそれはそれは気恥ずかしい。
「蝶ですか?」
「うん。今回は真紀ちゃんの物まねで朋花ちゃん本来の姿にしてあげられないのが残念。またそれはいずれ、ね」
なぜか一瞬田所さんの視線が私を逸れて背後のオトコに向かったけれど、すぐに視線を戻し私に笑顔を見せた。
「素材はばっちり。さぁ、一緒に女優秋野真紀を作りましょうね」
「はい」
田所さんは腕まくりをし、私は着ていたスーツのジャケットを脱いで鏡の前に座った。
5年前、双子ちゃんを妊娠中に体調を崩してしまったことをきっかけにヘアメイクの仕事を辞めた田所さんはこれが久しぶりの仕事なのだという。
「表立って言えない仕事ですみません」
何とも言えない申し訳ない気持ちになってしまう。
彼女にとって久し振りの仕事が真紀の影武者のヘアメイクだなんて。
「ううん、やりがいあるわ。久しぶりに会った朋花ちゃんはサナギから蝶になろうとしているしね。精一杯やらせてもらいます」
田所さんに私の顔だけでなく頭の先から足の先までまんべんなく観察されるように見られてそれはそれは気恥ずかしい。
「蝶ですか?」
「うん。今回は真紀ちゃんの物まねで朋花ちゃん本来の姿にしてあげられないのが残念。またそれはいずれ、ね」
なぜか一瞬田所さんの視線が私を逸れて背後のオトコに向かったけれど、すぐに視線を戻し私に笑顔を見せた。
「素材はばっちり。さぁ、一緒に女優秋野真紀を作りましょうね」
「はい」
田所さんは腕まくりをし、私は着ていたスーツのジャケットを脱いで鏡の前に座った。