嘘の続きは
シルクのシーツ
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ん。
寝返りを打つと、シーツが頬にあたりいつもと違うふんわりとした感触に違和感を感じて眠りから目が覚めた。
うちのシーツはこんなに柔らかくないはずだけど、柔軟剤を変えたんだっけ…?
ゆっくりと目を開けて驚きが口から洩れた。
「え、ここ、どこ?」
薄暗い12畳ほどあろうかという広さの部屋に私が寝ているダブルベッドが一つ。家具らしきものは他に何もなく、遮光カーテンが引かれている。
部屋の中には自分以外誰も居らずどうやら一人で寝ていたらしい。
必死に記憶を辿っていくと、昨夜真島さんの車でカーステレオから流れる音楽を聴いていたところで記憶が途切れている。
ということは。
さぁーっと背筋に冷たいものが流れていく。
見た感じ、ホテルではない。
だとすると一体ここは…どこ?
遮光カーテンの隙間からも日差しが入って来ている様子はなく、まだ夜であるらしい。
自分の服装を見ても多少乱れてはいるけれど脱いではいない。
ブラウスにスカート、ストッキングもそのままだ。ただ、胸元のボタンが2つとスカートのウエストの留め具が外されていて緩めてくれたらしいことがわかりちょっとどきりとする。
この家具の少なさからしてここは事務所が所有する幾つかのマンションのうちの一つなのかもしれないとぼんやりする頭で考えた。
何故そんなところに連れて来られたのかはわからないけれど、芸能事務所は何かあった時のためにいつでも使えるマンションを何部屋か持っていると聞いたことがある。
恐らくそのうちの一つだろうと予想してゆっくりと身体を起こした。
どちらにしても、車の中で眠り込んでしまって真島さんに迷惑をかけたことは間違いない。
ベッドから下りて周りを見てもこの室内に私のコートやバッグはない。
それに、真島さんはどうしたんだろう。私を置いて帰ったのだろうか。