嘘の続きは
「朋花、愛してる。長いことほったらかしにして悪かった」

彼の手の優しさに思わず涙が溢れてきた。

「この5年の間に私が結婚とかしていたらどうしていたの?」

「それはーーー」
しっかりと抱き寄せられて耳元に彼の唇を感じると一気に顔が熱くなる。

「俺のことが好きだと思い出させてその男から奪い返すつもりだったよ。でも、朋花がどうしても俺よりそいつの方が良いと言うのならその時は諦めるつもりだったけど」

思ってもみない男の言葉に一瞬息が止まりそうになる。

「それ、本気?それとも冗談?」

「もちろんーーー本気」
そして唇に熱が落ちてきた。


昨夜から一緒にいるこの男と私の知っている真島さんは同じ男なんだろうか?

甘く、甘く、どこまでも甘い。
私を見る眼も私に触れる指も私に囁く言葉も全てが甘い。

「朋花の動向は真紀から聞いて知ってたし。そばにいてやれないのだから付き合う男の一人や二人は仕方ないと思ってた。まあ、いざ結婚の話が出たら直接邪魔をしようとは思っていたけれど、その必要がなかったことはよかったよ」

何それと思うのだけれど、少しだけ嬉しいと思ってしまう気持ちもあり。
かなり微妙な気分だ。

< 133 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop