嘘の続きは
「朋花は幸せ?」

姉は真っ直ぐに私を見つめてきた。
その瞳に映るのがただ幸せに浸っている妹の姿ではないことがよくわかっている姉だ。

「正直、展開が早すぎて戸惑いの方が大きい・・・かな」

姉の強い視線に耐え切れずうつむいてしまう。テーブルに置かれたおつまみのお皿の中の艶々としたグリーンオリーブをじっと見つめた。

「まあそうだよね。ーーーあのバカ中年。可愛い妹をこんなに待たせた挙句に勢いで考える暇を与えないで嫁にするなんて最低だわ。あんなヤツハゲ散らかしてしまえばいいのに」

えええ?ハゲって?お姉ちゃん

予想外の姉の暴言にびっくりしてポカンとしてしまう。

「あはははは、朋花あんた顔がすごーく面白いことになってるわよ」

私を指差しお腹を抱えて笑い出した姉にどう返事をしていいのかわからない。

「ええーっと、真島さんがハゲるのはもう数年は勘弁して欲しいかな・・・」

私の小さな声に「10年後ならいいわけ?」と姉はさらに大きく笑った。

「まあハゲてしまうのはその人のせいじゃないし、それならそれでも仕方ないし・・・そうなっても真島さんはきっとカッコいいままなはずだし・・・」

後半はごにょごにょと呟くだけにしたけど、
姉は「恋は盲目朋花バージョン、最強」と突っ込んできた。

「お姉ちゃん、真島さんにあんなに世話になっておきながらそれはちょっとひどいよ」

「そうだけどね。確かに10代の頃とか特に世話になったけど。最近じゃ私もあの人に迷惑被ってたんだから。
隼人さんと付き合いだしたら早く結婚しろってうるさくて。お前が片付かないと俺が安心して結婚できないって言うし。じゃあ先に結婚すれば?って何回言ったことか。その度にお前が先じゃないとダメなんだって言ってたけど。
私が結婚しなかったらどうするつもりだったのかしらね、あのおっさん」
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