嘘の続きは
「いつでも出戻っていいのよ」
「そうだよ。いつだって兄は妹の味方だ」

私には姉夫婦という頼もしくしかもかなり強力な助っ人ができた。おまけに義兄は超絶イケメン。

「今のところ出戻るつもりはありませんけど、頼りにしてます。よろしくお願いします、お義兄さん」

「任せて。真紀の妹の朋花ちゃんのこともうちの副社長は気に入ってるみたいだし、何かあったら何でも頼ってくれていいよ」
離婚の弁護士もいい所を紹介するからね、と恐ろしいことまでのたまっておられた。

「うちの副社長って何年か前に朋花ちゃんのこと女優デビューしない?って誘ったことあるらしいね、・・・あれ?もしかして知らなかった?」

私と姉が揃って首をかしげた姿にお義兄さんが驚いた顔をした。

「聞いてないわ。少なくとも私は」
「私もです」

姉妹は仲良く声を上げてお義兄さんは「俺も今回の映画祭の時に初めて聞いたんだけど、朋花ちゃんが高校生くらいの頃って言ってたよ」と苦笑した。

西さんの事務所ってことは業界最大手。
中学生の頃からモデル事務所などに何度かお誘いを受けたことはあるけれど、その話は初耳だ。

「ご両親と真紀のマネージャーに丁寧に断られたって言ってた。ご両親はともかく、今考えると真島さんのは私情だったんだろうな」

くつくつとお義兄さんが身体を震わせて笑い出す。
真島さんの私情ってーーーそうかな。
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